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私事(わたくしごと) 残骸

R01.09.06.countdown.10

「覚醒・予兆」 出来事から1週間がたっていた。

僕は、「記憶の身辺整理」というのか?

「目を背けてきた憂鬱」に思いを巡らせて

心的「告解」を続けている。

 

『朽ちた、夢の躯を葬る』そこかしこに散らばる『残骸』を拾い集めて『黄昏の墓標』と命名した。

く・ちる【朽ちる】の解説

[動タ上一][文]く・つ[タ上二]

1 腐って形がくずれたりぼろぼろになったりする。「―・ちて今にも壊れそうな廃屋」

2 評判が衰えてしまう。すたれる。「今なお―・ちることのない名声」

3 むなしく人生を終える。「世に出ることもなく―・ちる」

 

むくろ【×躯/▽骸/▽身】 の解説

1 死体。なきがら。また、首のない胴体だけの死体。「冷たい―と化す」

2 朽ちた木の幹。

3 からだ。特に、胴体。「かしらは猿、―は狸 (たぬき) 、尾はくちなは」〈平家・四〉

 

たそ‐がれ【黄=昏】 の解説

《古くは「たそかれ」。「誰 (た) そ彼 (かれ) は」と、人の見分けがつきにくい時分の意》

1 夕方の薄暗い時。夕暮れ。

2 盛りを過ぎて終わりに近づこうとするころ。「人生の黄昏」[補説]作品名別項。→黄昏

H30.10. 事務所兼店舗は月内には夜逃げさながらの撤退が完了したそうだ。 仲間が助けてくれた。

わずかだが、手を差し伸べてくれた友がいて、

大変な作業に力を貸してくれた。

 

結局、僕は最後まで「夢の跡」を見る事は無く。

あの人も「夜逃げ要員」だから、病院ベットの中で一人することもなく「黄昏」ていた。 

 

あとは法人の処理を含めて、債務整理の手続きが必要で、病院のケア(care)を利用して弁護士を呼んでもらい接見した。面倒くさい事が山積みだった。

 

病室にPCを持ち込み、何通も事情説明の為に手紙を書いた。

 

窓越しの町並みは、日々秋の色が濃くなり、僕は杖を使った歩行練習を始めていた。

初めは、姿勢を維持する事が出来ずに、生涯車椅子がちらついたが、足首に補助具を装着し訓練を始めると、次第にバランスが取れて、身体を支えられるまでになった。

週末の外出が唯一の楽しみだった。あの人が車椅子を押して、僕は身を任せて市街を散歩する。「こんな日が訪れるとは…」

 

今日は映画を見に行く。楽しみにしていた作品が遂に公開されたのだ「ボヘミアンラプソディー」僕らの青春時代の物語だが

後に、空前の大ブームを呼ぶ作品になった。

車椅子で観るスペースは随分スクリーンから近くて、それでも娯楽を楽しむ事で、心は軽くなった気がした。

一杯やりたい所だが、あの人からのお許しは出なかった。

夕暮れには、ひざ掛けが必要になっていた。

残りのポップコーンを口に放り込まれながら街路樹を進む、

「来週は焼肉食べようネ…」

「ありがとう…」 涙が出そうになった。

退院のカウントダウンが始まった。

実家でしばらくは、静養させてもらう事になり、ひと安心。だが僕が生活するには、至るところに手すりが必要だそうで、担当の理学療法士がわざわざ家にまで出向いて設置箇所を取り決める。

介護保険制度が、工事費用をサポートしてくれるので、安く済んだ。

 

僕は更に退院を早めるよう担当医に願いでて、H30.12.発病から三ヶ月で退院する運びに。

通院でリハビリを継続する事になったが、目に見える回復はもう無くなっていた。

退院の日、僕は54歳になった。

あの人からのプレゼントは…なんと札幌旅行、この僕を冬の北海道に連れて行くという。

このサプライズにはホントに驚いたが、何だかとっても楽しみになった。

 

在宅療養が始まる。

どんな毎日を送ればよいのか? 再起を目指す試行錯誤の日々が始まった。