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長編手記「おわりはじまり」第四回

リハビリと入院生活が始まった。正確には入院はもう半月以上前からだが、

ようやく脳みそが活動を始めた感じの頃だった。

窓の外は暑い夏が終わり「秋」になっていた。おだやかな陽の光、高くトンビが旋回している。その随分下を鳩だろうか?集団が横切る。  向こうの箱根の山々と重なって、ここいらの眺めも悪くない。そして日課が始まる。

体温は36度7分  血圧上が122下が80まぁこんなもんか・・・前日の排泄の回数を聞かれて、尿バックのメモリを確認されて終了である。血圧だが、皆さんには本当に注意して欲しい。僕は何回かあった「神の警告」を軽視した結果、

このような事態になったのかもしれない。初めの警告は・・・歯医者だった。元々は医者というものには縁が無く、嫌いなので普段ならば行かないのだが痛みに耐えかねて仕方なく、そこで医者に「麻酔を打てないので治療が出来ない」と言われた。原因は血圧測定の結果だった。まだ40代だったと思うが、たしか上が180~190位だったと思う。歯医者では通常、血圧を測る事は無いそうで、散々脅かされて、渋々、当時の職場、最寄りの渋谷駅新南口改札近くの内科医に行った。それからの高血圧人生である。

即刻、降下剤が処方され、効果の確認が出来るまで最初は連続で通った記憶だ。上が200越え下が130位で「酒もタバコもすぐやめろ」と言われた記憶もある。処方された薬が切れてしばらく放置した時のものだろう。そんな事を繰り返して、なお不摂生を続けこんな事になった。というとらえ方は、とても自然だし戒めとしては当然である。 だが、あえてわがまま自分勝手をかえりみずに言わせてもらうならば、「結果論」であり「思考の違い」だと今でも思う。

悔やまれるのは、前ラウンドまで固めていたガードが下がった瞬間の無防備な状態に決定的な一打をまともに受けてしまったことだ。今更、恨みつらみを言ってもどうにもならない話しだが・・・

「8:30から口腔体操が始まります。食堂までお集まりください。」

放送が流れ、3階の入院患者が朝食のために集まる。口腔体操、パタカラ体操とも呼んでいる。これが食事の度に行われる。「パンダのたからもの」全員で声や動きを合わせる約10分間くらいの嚥下準備体操である。

食堂の席はいつも決まった所だ。車イスの人が大半である。4人テーブルが12台位だろうか?ほぼ満杯である。男女は4:6、僕より年下はまず居ない、どうやら病床も似たような人が集まっているようである。僕のテーブルは60代半ばの男性が3人でいずれも1~2か月は先輩、病室の面々よりは随分とジェントルマンだが食事の内容には怒り露に文句も度々あった。・・・あれで一食450円位は取るのだから当然といえば当然である。食後の薬を受け取ると後は自由解散である。

僕は車イスの乗り降りもまだ一人では禁止されていて、動く度にコールボタンを押した。食事以外のスケジュールはリハビリである。病室には時間割表が下げられ一週間の予定が書かれていた。午前に40分✖1回、午後に40分✖2回でそれぞれ担当の理学療法士の氏名と時間が記入されている。毎日3回の内容は簡単に説明すれば、頭・左手・左足のリハビリである。それとは別にトイレやお風呂の訓練もカリキュラムが組まれているそうだ。

こうした復帰を目指す新たな動きの一方で、職場は主を失い放置されたままだ。このままランニングコストだけが、積もっていく事態を一刻も早く脱しなければならなかった。

 

 突然終わったら悪しからずだ。

 

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それでは次回をお楽しみに!